生態系と食物網|生産者・消費者・分解者のつながりを図解

非生物的環境の光・水・土壌と、生産者・消費者・分解者が相互に影響する生態系の模式図 生物基礎
図1 生物への環境の作用と、生物が環境を変える働きの両方を見る。

森や池では、植物や動物だけでなく、目に見えない微生物も関わり合って暮らしています。生態系をつくる要素を整理し、食物網の矢印、生産者・消費者・分解者の役割、生態ピラミッドの読み方を学びます。

ビオップ

なんでなんで?! 森の落ち葉は毎年増えるのに、地面が落ち葉だらけで埋まってしまわないの?

わや先生

食べる生物だけでなく、落ち葉などを分解する生物にも注目しましょう。森の中のつながりが見えてきます。

この記事でわかること

  • 生物と環境を合わせて生態系として捉えること
  • 食物網の矢印と、生産者・消費者・分解者の役割
  • 生態ピラミッドで、個体数と生物量を区別して読むこと
この記事の位置づけ|生物基礎

これまで見てきた植生に、動物・微生物・周囲の環境を加えて考えます。光合成や呼吸も振り返りながら、生物同士のつながりを整理しましょう。

まず結論|生物と環境を一つのまとまりとして見る

ある地域の生物と、それを取り巻く光・水・空気・土壌などの環境を、相互に関わり合う一つのまとまりとして捉えたものが生態系です。森林や湖、干潟などが例になります。

非生物的環境の光・水・土壌と、生産者・消費者・分解者が相互に影響する生態系の模式図
図1 生物への環境の作用と、生物が環境を変える働きの両方を見る。

光や温度、水、土壌などは非生物的環境です。ある生物にとって、餌となる生物や天敵、同じ場所を利用する生物などは生物的環境になります。生物的環境は「動物だけ」という意味ではありません。

例えば、林床に届く光の量は植物の生育に影響します。一方、木が育つと葉が光を遮り、落ち葉が土壌に加わって環境を変えます。このような生物から環境への働きが環境形成作用です。環境が生物を一方的に決めるのではなく、影響は双方向にあります。

生産者・消費者・分解者を、役割から理解する

植物や藻類など、無機物から有機物をつくる生物を生産者といいます。ここでは、光エネルギーを利用して二酸化炭素と水から有機物をつくる、光合成を行う生物を考えます。植物は「土から有機物の栄養を吸い上げるだけ」ではありません。

他の生物がつくった有機物を取り入れて生活する生物が消費者です。植物を食べるバッタも、そのバッタを食べるカエルも消費者です。生産者を直接食べるものを一次消費者、それを食べるものを二次消費者と呼び、このような食物関係上の位置を栄養段階といいます。

死骸や落ち葉、排出物などの有機物を分解し、無機物へ戻す働きに注目した呼び名が分解者です。菌類や細菌類などが重要な役割を果たします。分解者も他の生物がつくった有機物を利用するので、広い意味では消費者に含まれます。三つを必ず互いに重ならない分類と考えないようにしましょう。

ミミズやダンゴムシなどが落ち葉を食べて細かくすることも、その後の分解を助けます。落ち葉の姿がなくなる過程には、さまざまな生物が関わっています。分解者は食物連鎖の最後の動物だけを分解するのではなく、どの栄養段階から出た死骸なども利用します。

食物連鎖を重ねると、食物網になる

生物が他の生物を食べることを捕食、食べられることを被食といいます。「草→バッタ→カエル→ヘビ」のように食べる・食べられる関係を一続きに示したものが食物連鎖です。

実際には、一種類の生物が複数の餌を食べたり、複数の生物に食べられたりします。多くの食物連鎖が網目状につながったものが食物網です。図2は、読み方を練習するために関係を絞った例です。

草からバッタとネズミ、バッタからカエル、カエルとネズミからヘビへ矢印が向かう食物網
図2 矢印は食べられる側から食べる側へ。自然界のすべての餌を示した図ではない。

この図では矢印の先にいる生物が、手前の生物を食べます。「草→ネズミ」はネズミが草を食べるという意味です。動物が獲物へ向かって移動する方向ではありません。食物として有機物が移る方向だと考えると、逆向きに読みづらくなります。

ヘビには、ネズミを通る経路と、バッタ・カエルを通る経路があります。前者ではヘビは二次消費者、後者では三次消費者です。一つの種を、いつでも一つの栄養段階に固定できるとは限りません。問題では、指定された経路に沿って数えます。

資料ごとに、矢印の意味を確かめる

食物網の矢印と、個体数への影響を示す矢印は別物です。「Aが減るとBが増える」という因果の図を、食べられる方向として読まないよう、凡例や説明を先に確認します。

生態ピラミッド|何の量を積み重ねた図か

栄養段階ごとの個体数や生物量などを、下位の段階から積み重ねて示す図を生態ピラミッドといいます。生物量は、ある時点に存在する生物の量で、乾燥させた質量などで表します。

栄養段階の順に隙間なく積み重ねたバーと、横に配置した生物名・値。左は樹木1・昆虫100・小鳥10個体、右は生産者1000・一次消費者100・二次消費者10g/m²
図3 仮想例。下から生産者、一次消費者、二次消費者の順。横幅は大小関係を示す模式表現で、厳密な数値の比率とは一致しない。値は横のラベルで読む。左右は別の資料であり、同じ生物集団の数と重さではない。

下から上へ、食物連鎖の順にバーを積み重ねます。一般に上位ほど生物量が小さくなる例では、図3右のように下が広い形になります。ただし、栄養段階の順番はそのままで、上の段のバーが下の段より広くなることもあります。このような量の関係の逆転を、次に具体的に見ていきましょう。

図を読むときは、まず「数なのか、重さなのか」と単位を見ます。次に、同じ面積・同じ時点などの条件で比較しているか確かめます。「昆虫が100、鳥が10」だけから、昆虫の総質量が鳥の10倍だとは言えません。

ピラミッドが逆転するのは、どんなとき?

① 個体数の逆転|大きな樹木1本が、多数の昆虫を支える

図3左では、生産者である樹木が1個体なのに、その葉などを食べる昆虫は100個体います。一次消費者の方が生産者より個体数が多いため、その部分では下の段より上の段が広くなっています。

樹木は1本でも、大量の葉や枝などをもちます。個体数を数えるときには、大きな樹木も小さな昆虫も、それぞれ「1個体」です。一個体の大きさや、含まれる有機物の量の違いは、個体数には表れません。このため、多数の小さな消費者が少数の大きな生産者に支えられることがあります。

したがって、個体数のピラミッドが逆転していても、生物量まで逆転しているとは限りません。樹木1本の乾燥質量が、そこにいる昆虫全体の乾燥質量より大きい場合もあります。また、すべての段が逆さになる必要はなく、一部分だけが逆転することもあります。

② 生物量の逆転|植物プランクトンは次々と補充される

湖や海では、ある時点で測った植物プランクトンの生物量が、それを食べる動物プランクトンの生物量より少ない場合があります。例えば、同じ水域の同じ時点で、植物プランクトンが20g/m²、動物プランクトンが50g/m²だったとすると、生物量のピラミッドはこの二段の間で逆転します。この数値は説明用の仮想例です。

ここで重要なのは、生物量がその瞬間に存在する量だということです。植物プランクトンは光合成を行い、短期間に増殖できます。食べられて量が減っても、新たに増えた分が補充され、また食べられることを繰り返します。一回の測定で少なく見えても、一定期間には繰り返し有機物を供給できるのです。

逆に、動物プランクトンの体は、その瞬間にある植物プランクトンだけで一度につくられたわけではありません。それ以前から餌を取り入れて成長してきた体が、測定時に存在しています。いま残っている餌の量だけを、消費者をこれまで支えた餌の総量と取り違えないことがポイントです。

逆転しても、食物連鎖の向きは変わらない

植物プランクトンが生産者、動物プランクトンが一次消費者という関係は同じです。生物量が逆転しても、生産者と消費者の役割が入れ替わったわけではありません。また、すべての水域・季節で必ず逆転するわけでもありません。

資料読解では「何を、いつ測った量か」を確認する

個体数には体の大きさが反映されず、生物量は一時点の量なので増殖や補充の速さを直接表しません。一時点の生物量と、一定期間に新たにつくられる有機物の量は別の量です。生物量の図が逆転しているという理由だけで、「消費者の方が多くの有機物を生産している」「エネルギーが上位ほど増える」と結論してはいけません。

物質は循環するが、エネルギーは流れていく

落ち葉などの有機物は、分解者の働きによって二酸化炭素などの無機物へ戻ります。植物が光合成で二酸化炭素を取り込み、有機物が食物網を通じて移り、植物・動物・分解者の呼吸で二酸化炭素が放出される。このような炭素の移動を炭素循環として捉えられます。

一方、植物が取り込んだ光エネルギーの一部は、有機物の化学エネルギーとして食物網を通じて移ります。生物が生命活動に利用する過程で熱として周囲へ放出され、その熱がそのまま光合成に再利用されるわけではありません。物質の循環とエネルギーの流れを区別しましょう。

確認問題

当サイト独自の問題です。選択式は最も適切なものを一つ選んでください。

問1 環境への働きを見分ける

①気温が低下して植物の成長が遅くなった。②樹木が育ち、林床に届く光が少なくなった。環境形成作用の例はどちらですか。理由も述べてください。

問1の解答・考え方

正解:②。樹木という生物が光環境を変えています。①は環境の変化が生物に影響した例です。

問2 食物網の経路をたどる

草・バッタ・ネズミ・カエル・ヘビの食物網の再掲
図2(再掲) 矢印の先が食べる側。

ヘビが二次消費者となる経路を、草から順に答えてください。

問2の解答・考え方

正解:草→ネズミ→ヘビ。草が生産者、ネズミが一次消費者、ヘビが二次消費者です。草→バッタ→カエル→ヘビでは、ヘビは三次消費者になります。

問3 分解者が利用するもの

分解者の働きとして適切なのはどれですか。

  1. 最上位の捕食者の死骸だけを分解する。
  2. 菌類は光合成によって落ち葉を無機物にする。
  3. さまざまな生物に由来する有機物を分解する。
  4. 分解者は呼吸を行わない。
問3の解答・考え方

正解:3。生産者やさまざまな消費者から出る死骸などが分解の対象です。菌類は一般に光合成せず、分解者自身も呼吸を行います。

問4 個体数から言えること

バーを積み重ね、各段の横に名前と値を示した個体数・生物量ピラミッドの再掲
図3(再掲) 左は個体数、右は乾燥質量。左右は別々の仮想例。

左の個体数の資料だけから言えることを選んでください。

  1. 昆虫の総質量は小鳥の10倍である。
  2. 昆虫の個体数は小鳥の10倍である。
  3. 小鳥1個体は一日に昆虫を10個体食べる。
  4. 樹木の総質量は最も小さい。
問4の解答・考え方

正解:2。100÷10=10です。個体数の比は求められますが、重さや一日の餌の量はこの資料だけでは分かりません。樹木1個体が多数の昆虫を支えているため、生産者と一次消費者の個体数は逆転しています。

問5 物質とエネルギーを区別する

「分解で無機物へ戻るから、エネルギーもすべて同じように循環する」という説明を、光と熱に触れて修正してください。

問5の解答・考え方

解答例:物質は無機物と有機物の間を循環するが、光として取り込まれたエネルギーは生命活動を経て熱として周囲へ放出される。物質と同じように生態系内を循環するわけではない。

まとめ

  • 生態系には、生物と非生物的環境、その相互作用が含まれる。
  • 生産者がつくった有機物は消費者へ移り、分解者もその有機物を利用する。
  • 食物網は、食べられる側から食べる側への矢印で読む。
  • 生態ピラミッドでは個体数と生物量を区別する。常に同じ形になるとは限らない。
  • 物質の循環と、光から熱へ向かうエネルギーの流れは違う。
わや先生

最初の落ち葉の疑問を、分解者と物質のつながりから説明できますね。

ビオップ

落ち葉も食物網と無関係じゃないんだね。細かくする生物や分解する生物がいて、物質がまた植物に利用されていくんだ!

Plus|食べたものを、どうやって調べる?

野外では、すべての捕食場面を直接見ることはできません。研究では、胃の内容物や排出物などを調べる方法に加え、生物の体に残る化学的な情報から食物関係を探る方法も使われます。教科書の食物網は、こうした観察や調査を重ねて描かれるものです。

参考資料

本文の用語・説明を確認するために参照した資料です。図解と確認問題は当サイトで作成しています。

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