植生とは?森林の階層構造と林床に届く光を図解

森林・草原・荒原の見た目を並べ、ある場所を覆う植物の集まりが植生であると示す図 生物基礎
図1 相観は植生の見た目。草原にも木が点在することがあり、荒原にもまばらに植物が生える。

森の中では、大きな木の下にも低い木や草が生えています。同じ場所にいながら、植物はどのような光を受けているのでしょうか。植生の見分け方と森林の階層構造を、林内の明るさや季節の変化と結び付けて整理します。

ビオップ

なんでなんで?! 大きな木が上を覆っているのに、その下にも植物が生えているの?

わや先生

森を横から見るつもりで、葉のある高さと光の届き方を調べてみましょう。

この記事でわかること

  • 植生・相観・優占種の意味
  • 森林の階層構造と林冠・林床の違い
  • 林内の光を比較する資料の読み方
この記事の位置づけ|生物基礎

植物の集まりを、種類だけでなく高さや見た目から捉える記事です。光合成の学習を、森の中で植物が暮らす環境へつなげます。

まず結論|森林には高さの異なる層がある

ある場所を覆っている植物の集まりを植生といいます。森林では、葉や枝の広がる高さが異なる植物が重なり、階層構造がつくられます。上の葉で光が吸収・反射されるため、一般に下の層ほど届く光は少なくなります。

森林・草原・荒原を、見た目から分ける

植生の外から見た姿を相観といいます。背の高い樹木がまとまって育つ森林、草本が中心の草原、植物がまばらで地面が広く露出する荒原などに分けられます。荒原は「植物が一本もない場所」と同じ意味ではありません。

森林・草原・荒原の見た目を並べ、ある場所を覆う植物の集まりが植生であると示す図
図1 相観は植生の見た目。草原にも木が点在することがあり、荒原にもまばらに植物が生える。

その植生の中で量が多く、全体の姿や環境に大きな影響を与える種を優占種といいます。森林なら、林冠を広く占める樹木がその例です。小さな草の個体数が多いだけで、森林全体の優占種だとは限りません。

見た目と種名を分ける

「森林」は植生の姿を表し、「ブナ」は植物の種名です。ブナが優占する森林をブナ林と呼ぶように、二つを組み合わせると、どのような植生なのかを具体的に伝えられます。

森林の階層構造を、上から下へ見る

森林の断面に高木層・亜高木層・低木層・草本層・地表層と林冠・林床を示した模式図
図2 高木層から地表層までの代表的な階層。どの森林にも同じ層がそろうわけではない。

代表的な森林では、上から高木層・亜高木層・低木層・草本層・地表層が区別されます。高木層と亜高木層は高い位置に枝葉を広げる木、低木層は背の低い木、草本層は草本類が中心です。地表層にはコケ植物などが見られます。

階層は、マンションの床のように地面が何段もあるという意味ではありません。植物は地面などに根を張り、葉の広がる高さが異なります。各層を区切る高さも一定ではなく、森林によって層がはっきりしないことがあります。

高木の枝葉が森林の上部を覆う部分が林冠、森林の地表付近が林床です。「林冠=一本の葉」「林床=土だけ」ではなく、森林内の位置を表す言葉として捉えましょう。

林床は暗いが、光がまったく届かないわけではない

葉が密に重なる林冠の下では、強い直射光の多くが遮られます。それでも、葉の隙間から差す光や、周囲で散乱した光が林床に届きます。弱い光でも光合成と呼吸の収支を保ちやすい植物は、この環境でも育てます。

ただし、下にある植物がすべて同じ条件で育つわけではありません。枝葉の隙間、斜面の向き、時刻などによって明るさは変わります。「森林の下はどこでも一日中同じ暗さ」とは考えないようにしましょう。

落葉すると、林床の明るさはどう変わるか

葉が茂る時期は光が遮られ、落葉した時期は林床に届く光が増える比較図
図3 落葉広葉樹林の模式例。季節による葉の量の違いは、林床の光環境にも影響する。

落葉広葉樹林では、木が葉を広げている時期と落葉している時期で、林床への光の届き方が変わります。上の木がまだ葉を広げていない春に、林床で葉を広げ花を咲かせる草もあります。光だけでなく気温などの条件も関わるため、「明るくなればいつでも同じように成長する」とは限りません。

資料では、何を基準に比べた値かを確かめる

森林の外の明るさを100とし、林内の明るさをその何%かで表すことがあります。例えば林外が10,000、林床が500という同じ単位の測定値なら、林床は林外の500÷10,000×100=5%です。これは基準に対する割合であり、「光が5個ある」という意味ではありません。

季節や場所を比べるときは、林内だけでなく林外も測り、時刻や天候の違いを確かめます。明るさの変化をすべて葉の量だけで説明する前に、比較条件がそろっているかを見ることが大切です。

確認問題

当サイト独自の問題です。選択式は最も適切なものを一つ選んでください。数値は学習用の仮想データです。

問1 優占種を判断する

ある森林では、草Xが500個体、木Yが20個体あり、木Yの枝葉が林冠の大部分を占めています。この資料からの説明として適切なのはどれですか。

  1. 個体数の多い草Xが、必ず森林全体の優占種である。
  2. 木Yは、林冠を広く覆うため優占種となり得る。
  3. 木Yが少数なので、この場所は森林ではない。
  4. 優占種は必ず一番低い層にある。
問1の解答・考え方

正解:2。優占種は個体数だけでなく、占める量や植生への影響に注目します。林冠を広く占める木Yが光環境に大きく影響するという根拠があります。

問2 林外に対する明るさ

同じ時刻に、林外で20,000、林床で600という明るさを測りました。単位は同じです。林床の明るさは林外の何%ですか。

問2の解答・考え方

正解:3%。600÷20,000×100=3です。林外を基準にするので、林外の値を分母にします。

問3 季節変化を読み取る

林外を100とした林床の明るさ
調査時期 林床の値
上の木の展葉前 35
上の木の展葉後 4

同じ森林で、天候や測定時刻をそろえました。この変化を説明する最も適切なものを選んでください。

  1. 林床の植物の呼吸が完全に止まった。
  2. 林外の光が必ず弱まった。
  3. 上層の葉が広がり、林床へ届く光が少なくなった。
  4. 林床のすべての植物が枯れた。
問3の解答・考え方

正解:3。上層の葉が増えて光を遮ることが、林床の値の低下と対応します。資料だけで呼吸や植物種の変化までは断定できません。

問4 調査条件をそろえる

林冠が閉じた場所と、倒木で林冠に隙間ができた場所の明るさを比較します。場所の違いを調べるため、そろえるべき条件を二つ挙げてください。

問4の解答・考え方

解答例:測定する高さと時刻。天候や測定器もそろえます。高さや日射条件が異なると、林冠の隙間だけによる差か判断しにくくなります。

問5 階層構造を説明する

「低木層の植物は、高木層の枝の上に根を張っている」という説明のどこが誤りですか。階層を区別する基準に触れて説明してください。

問5の解答・考え方

解答例:階層は主に葉や枝の広がる高さで区別し、植物が上の木に積み重なって根を張ることを表すものではない。図では、地面から立ち上がる植物の高さと枝葉の位置を見ます。

まとめ

  • 植生は植物の集まり、相観はその外から見た姿。優占種は植生の姿や環境に大きく影響する。
  • 森林には高さの異なる層があり、一般に林床ほど光が弱くなる。
  • 林床の光は季節や林冠の隙間によって変わる。比較では測定条件と基準を確認する。
わや先生

最初の疑問を、林床に届く光と結び付けて説明できますか。

ビオップ

下にも光は届いていて、その光で育つ植物がいるんだね。森を見るときは、木の名前だけじゃなく葉の高さも見てみる!

Plus|研究では「葉の配置」まで調べる

森林を外から眺めるだけでは、葉がどの高さに集まっているかは分かりにくいものです。森林総合研究所が紹介する名古屋市の二次林の研究では、葉の分布を詳しく調べると、葉が主に二つの層に集まっていました。その高さは場所によって異なり、葉が集まる部分では光が大きく弱まっていました。教科書の階層構造を手掛かりに、実際の森で葉の配置と明るさを調べると、平らな段に分かれた模式図だけでは見えない姿が分かります。

参考資料

本文の用語・説明を確認するために参照した資料です。図解と確認問題は当サイトで作成しています。

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