タンパク質は何をしている?アミノ酸配列・立体構造・働き

アミノ酸がつながった鎖が折りたたまれ、立体的な形と働きをもつタンパク質になる流れを示す図 生物基礎
アミノ酸配列が立体的な形をつくり、その形がタンパク質の働きに関係する

食品の表示では、タンパク質は炭水化物や脂質と並ぶ栄養素として示されます。しかし、体内のタンパク質は筋肉の材料になるだけではありません。細胞の中で反応を進めたり、物質を運んだり、体を守ったりする「働き手」でもあります。

ビオップ

なんでなんで?! タンパク質って、筋肉をつくる栄養素じゃないの? 細胞の中でも仕事をしているの?

わや先生

その通り。タンパク質は体の材料になるだけでなく、酵素やヘモグロビン、抗体などとして生命活動を支えています。材料・形・働きのつながりを見ていきましょう。

この記事でわかること

この記事のゴール

  • タンパク質がアミノ酸からできていることを説明できる
  • アミノ酸配列と立体的な形、働きの関係を説明できる
  • タンパク質の主な働きを、身近な例と結び付けられる
  • 高温などでタンパク質の形が変わると、働きも変化することを説明できる
この記事の位置づけ

翻訳では、mRNAの情報をもとにアミノ酸が順に並べられます。この記事では、そのアミノ酸の並びがタンパク質の形と働きにつながるところを扱います。

タンパク質の材料はアミノ酸

アミノ酸は、タンパク質をつくる基本的な材料です。多くのアミノ酸がつながって一本の鎖になり、その鎖が折りたたまれることでタンパク質ができます。

アミノ酸にはいくつかの種類があり、その種類と並ぶ順番をアミノ酸配列といいます。まずは、「タンパク質はアミノ酸からできている」「アミノ酸の並び方がタンパク質ごとに異なる」と押さえましょう。

食べたタンパク質が、そのまま体のタンパク質になるわけではない

食品中のタンパク質は、消化によって主にアミノ酸などへ分解されます。吸収されたアミノ酸を材料に、細胞が自分の遺伝情報に基づいて必要なタンパク質をつくります。

アミノ酸の並びが、タンパク質の形につながる

アミノ酸がつながった鎖は、伸びたまま働くとは限りません。アミノ酸の性質の違いによって鎖が折りたたまれ、タンパク質ごとに特徴のある立体的な形になります。

タンパク質の働きには、この形が深く関係します。たとえば酵素では、反応する物質と合う部分の形が大切です。形が合うことで特定の物質と結び付き、反応を進められます。

アミノ酸がつながった鎖が折りたたまれ、立体的な形と働きをもつタンパク質になる流れを示す図
図1 アミノ酸配列が立体的な形をつくり、その形がタンパク質の働きに関係する
情報のつながり

DNAの塩基配列 → mRNAの塩基配列 → アミノ酸配列 → タンパク質の形と働き

DNAそのものが酵素や筋肉になるのではありません。DNAの情報がmRNAを介して読み取られ、アミノ酸の並びへ変換されることで、さまざまなタンパク質がつくられます。

タンパク質にはさまざまな働きがある

タンパク質は、体をつくる材料にも、生命活動を進める働き手にもなります。生物基礎では、まず次の代表例を結び付けておきましょう。

主な働き 代表例 役割
反応を進める 酵素 体内や細胞内の化学反応を進める
体をつくる 筋肉など 体の構造や運動を支える材料になる
酸素を運ぶ ヘモグロビン 赤血球の中で酸素と結び付き、全身へ運ぶ
体を守る 抗体 特定の抗原と結び付き、排除を助ける
タンパク質の代表的な働きと具体例
酵素、筋肉、ヘモグロビン、抗体というタンパク質の主な働きを示す図
図2 タンパク質は、体の材料にも生命活動の働き手にもなる

酵素として反応を進める

酵素の多くはタンパク質です。酵素は特定の物質に作用して、体内や細胞内の化学反応を進めます。詳しくは『酵素とは?触媒作用・基質特異性・温度とpHを整理』で確認できます。

体をつくり、物質を運び、体を守る

筋肉など、体をつくる材料にもタンパク質が多く含まれます。また、赤血球に含まれるヘモグロビンは酸素を運び、抗体は免疫の働きに関わります。同じ「タンパク質」でも、つくられる場所や形によって役割はさまざまです。

「タンパク質=筋肉」でも「タンパク質=酵素」でもない

筋肉の材料や酵素はタンパク質の代表例ですが、それだけではありません。運搬や生体防御などを担うタンパク質もあります。「タンパク質」という物質のまとまりと、その中の一つ一つの役割を分けて考えましょう。

形が変わると、働きも変わる

タンパク質は、高温や強い酸性・アルカリ性などの影響を受けると、立体的な形が変わることがあります。このような変化を変性といいます。

形が変わると、これまで結び付いていた物質と合わなくなるなどして、働きが弱くなったり失われたりします。卵白を加熱すると透明な状態から白く固まるのも、タンパク質の形が変化する身近な例です。

タンパク質が高温などで立体的な形を変え、働きにくくなることを示す図
図3 タンパク質は、立体的な形が変わると働きも変化することがある
ビオップ

なんでなんで?! 同じアミノ酸からできているなら、全部同じタンパク質にならないの?

わや先生

アミノ酸の種類や並ぶ順番が違うからです。アミノ酸配列が違うと折りたたまれ方や形も異なり、結果としてさまざまな働きをもつタンパク質ができます。

共通テストでは「情報→形→働き」をつなぐ

資料問題では、用語を一つずつ暗記するだけでなく、次の順序で考えることが大切です。

  1. DNAの塩基配列に、タンパク質をつくるための情報がある
  2. 転写と翻訳を経て、アミノ酸が決められた順番に並ぶ
  3. アミノ酸の鎖が折りたたまれ、立体的な形になる
  4. その形が、タンパク質の働きに関係する

「DNAが直接、体の形になる」と考えず、途中にmRNAとタンパク質があることを意識すると、遺伝情報と生命現象を結び付けやすくなります。

確認問題

問1 タンパク質をつくる基本的な材料は何ですか。
解答:アミノ酸です。
問2 アミノ酸の種類と並ぶ順番を何といいますか。
解答:アミノ酸配列といいます。
問3 アミノ酸配列とタンパク質の働きは、どのようにつながりますか。
解答例:アミノ酸配列をもとにタンパク質が立体的な形をとり、その形が働きに関係します。
問4 酵素、ヘモグロビン、抗体の働きをそれぞれ答えてください。
解答例:酵素は化学反応を進め、ヘモグロビンは酸素を運び、抗体は特定の抗原と結び付いて排除を助けます。
問5 タンパク質が高温などで変性すると、働きが変化することがあるのはなぜですか。
解答例:タンパク質の立体的な形が変わり、特定の物質と結び付く部分などが働きにくくなるためです。

まとめ

この記事のまとめ

  • タンパク質は、多くのアミノ酸がつながってできている。
  • アミノ酸の種類と並ぶ順番をアミノ酸配列という。
  • アミノ酸配列をもとに立体的な形ができ、その形が働きに関係する。
  • タンパク質には、反応・体の材料・運搬・生体防御などの働きがある。
  • 高温などでタンパク質が変性すると、働きが変わることがある。
わや先生

タンパク質は、筋肉の材料だけでしたか。

ビオップ

分かった! アミノ酸の並びから立体的な形ができて、その形を生かして反応を進めたり酸素を運んだりするんだね。タンパク質は、体の材料でもあり働き手でもあるんだ!

Plus|少ない種類の材料から、多くのタンパク質ができる

教科書の内容をもう一度つなぐ

タンパク質をつくるアミノ酸の種類は限られています。それでも、使うアミノ酸の数や並ぶ順番が変われば、できる鎖の形や働きにも多くの違いが生まれます。

文字の種類が限られていても、並べ方によって多くの文章をつくれるのと似ています。大切なのは、材料の種類だけでなくアミノ酸配列です。

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