単元別トレーニング|要点・例題を確認してから、問題に取り組む。
細胞周期とDNA量を題材に、知識・計算・資料読解を6問で練習する。問題は独自制作で、共通テストの過去問ではない。
共通テスト生物基礎 計算・資料読解トレーニング
第1版|オリジナル6問|演習の目安20分(例題を読む時間は別)
押さえるのは「順番」と「何当たり」
細胞周期は、細胞が分裂してから次に分裂するまでの過程である。G1期 → S期 → G2期 → M期の順に進む。G1期・S期・G2期を合わせて間期という。
| 時期 | 押さえること | 1細胞当たりのDNA量 |
|---|---|---|
| G1期 | DNA複製の前 | 1 |
| S期 | DNAを複製する | 1から2へ増える |
| G2期 | DNA複製の後 | 2 |
| M期 | 複製したDNAを分配する | 分裂完了で娘細胞は各1 |
相対値は、基準の何倍かを表す値である。ここではG1期のDNA量を1とするので、2はその2倍を表す。「DNAが1個、2個」という意味ではない。
覚える手がかり:「Sで合成、Mで分配」。M期はDNAを半分捨てる時間ではなく、2つの娘細胞へ分ける過程である。
例題|細胞の割合を、時間に置き換える
細胞周期が18時間の細胞を600個観察したところ、M期の細胞は50個であった。この例では、各時期の細胞数の割合が、その時期にかかる時間の割合に等しいと仮定する。M期にかかる時間を求めよ。
① 全体を決める:観察した600個が、周期全体の18時間に対応する。
② 割合を出す:50 ÷ 600 = 1/12。
③ 全体の時間にかける:18 × 1/12 = 1.5時間(90分)。
この比例関係は問題の仮定に基づく。どの細胞集団でも無条件に使える式ではない。
次ページ以降の各問に答えよ。計算の過程や判断の根拠も解答欄に記せ。
02 図からしくみを読む
資料1|ある細胞のDNA量の変化
下図は体細胞分裂を続ける細胞について、G1期のDNA量を1としたときの、1細胞当たりのDNA量の変化を表した模式図である。分裂後は一方の娘細胞に注目する。A〜DはそれぞれG1期・S期・G2期・M期のいずれか、Eは次のG1期である。

問1 区間と時期を対応させる
A〜Dに当てはまる時期をそれぞれ答えよ。また、DNAの複製が行われる区間をA〜Dのうちから一つ選び、その根拠を説明せよ。
問2 「1細胞当たり」と「合計」を区別する
DからEへ値が低下した理由として最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。また、分裂直後の娘細胞2個分のDNA量の合計を、同じ基準の相対値で答えよ。
① DNAの半分が分解されて失われた。
② DNAが2つの娘細胞に分配され、1細胞当たりの量が半分になった。
③ DNAの複製が始まった。
④ 細胞が小さくなったので、DNAの総量も同じ割合で減った。
問2では、分裂に伴うDNAの損失はないものとする。
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細胞周期とDNA量|問題編と同じ番号で確認
第1版|正答と、判断の根拠となる資料を確認する。

問1 A:G1期 B:S期 C:G2期 D:M期
複製される区間はB。1細胞当たりのDNA量が1から2へ増加していることが根拠である。複製後のCと、分配中のDでは、分裂を完了するまで1細胞当たりの量は2である。
M期を単に「DNA量が下がる区間」とだけ覚えると、Dの横ばい部分を見落としやすい。この図は分裂完了時に縦に下がるモデルである。
問2 ②/娘細胞2個分の合計:2
分裂前は1細胞に相対値2のDNAがある。分裂後は娘細胞1個につき1なので、2個分の合計は1+1=2となる。DNAが半分捨てられたわけではない。
誤答の見直し:①は分配と分解の取り違え。③の複製では量が増える。④は細胞の大きさとDNA量を同じものとして扱っており、この図の説明にはならない。
図表を見る最初の確認
縦軸が「1細胞当たり」なのか、「集団全体の合計」なのかを、計算の前に確認する。同じ分裂でも、何を数えるかによって値の意味が変わる。
図は問題編と同じものを再掲。前のページや別冊へ戻らず確認できる。
03 表を式に変える
資料2|観察した細胞数と時間
分裂を繰り返す同じ種類の細胞500個を観察した。細胞周期は20時間である。この問題では、各時期の細胞数の割合が、各時期にかかる時間の割合に等しいと仮定する。
| 時期 | G1期 | S期 | G2期 | M期 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 細胞数(個) | 250 | 150 | 75 | 25 | 500 |
問3 S期とM期の時間
S期とM期にかかる時間をそれぞれ求めよ。計算の過程も示せ。
問4 計算方法の検討
ある生徒は、M期の時間を「20 × 25 ÷ 75」と計算した。
この計算が適切でない理由を、周期全体の20時間に対応する細胞数を示して説明せよ。
さらに、DNA量がG1期の2倍である細胞の割合を求めよ。ここではS期の細胞はすべて複製の途中、M期の細胞はすべて細胞分裂完了前として扱う。
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問3 S期:6時間/M期:1時間=60分
| 時期 | G1期 | S期 | G2期 | M期 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 細胞数(個) | 250 | 150 | 75 | 25 | 500 |
S期:20時間 ×(150個 ÷ 500個)=6時間。
M期:20時間 ×(25個 ÷ 500個)=1時間=60分。
500個が周期全体に対応し、そのうち150個は30%、25個は5%である。この割合を周期全体の20時間にかける。
確かめ算:G1期10時間+S期6時間+G2期3時間+M期1時間=20時間。各時期の合計が周期全体と一致する。
問4 分母はG2期の75個ではなく、全体の500個
説明例:周期全体の20時間に対応するのは観察した全500個である。25÷75はM期とG2期の細胞数の比であり、M期が周期全体に占める割合ではない。
25÷75という比自体が誤りではない。G2期の3時間と対応させれば、3時間×25÷75=1時間となる。時間の「全体」と、細胞数の「全体」をそろえることが重要である。
問4の後半 20%
問題で指定した条件では、DNA量が2の細胞はG2期とM期である。
(75+25)÷500×100=20%。
S期を丸ごと加えることはできない。資料2ではS期の細胞をすべて複製途中と定めているので、DNA量は1より大きく2未満である。
使える式と、使う前の条件
各時期の時間 = 周期全体の時間 × その時期の細胞数/全細胞数
この教材では、細胞数の割合と時間の割合が等しいという仮定がある資料2に用いる。処理した細胞集団にも、根拠なく適用してよいわけではない。
04 比較して、言えることを選ぶ
資料3|物質Xの有無と細胞の割合
同じ種類の細胞を2群に分け、一方には物質X、もう一方にはXを溶かした溶媒だけを加えた。それ以外の条件は同一とした。一定時間後、それぞれ無作為に選んだ400個を調べた。
| 1細胞当たりのDNA量 | 対照群 | X処理群 |
|---|---|---|
| 1(G1期に相当) | 240個 | 120個 |
| 1より大きく2未満(S期) | 100個 | 80個 |
| 2(G2期・分裂完了前のM期) | 60個 | 200個 |
| 観察した合計 | 400個 | 400個 |
数値は学習用の仮想データである。この資料だけでは、処理後の細胞数の割合と各時期の時間が比例するとは仮定しない。
問5 割合と、結論の範囲
DNA量が2の細胞の割合を、各群について百分率で求めよ。また、この表から判断できることとして最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。
① X処理群では、観察細胞のうちDNA量が2の細胞の割合が高い。
② XはM期だけを長くする。
③ X処理群の細胞周期は対照群の2倍である。
④ X処理群では、すべての細胞がG2期で停止している。
問6 仮説を検証する実験
「XによってM期にかかる時間が長くなる」という仮説を検証する。追加の調査として最も適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。また、その理由を説明せよ。
① 一定時間後に、両群の細胞の大きさの平均値だけを比較する。
② 両群の複数の細胞を個別に追跡し、M期の開始から分裂完了までの時間を比較する。
③ 一定時間後に、両群のDNA量が2の細胞を数え、G2期とM期を区別せず比較する。
④ X処理群だけでM期の時間を測り、対照群では細胞の大きさだけを測る。
解答後は解説編を参照し、誤答の原因を「知識」「読み取り」「式」「判断」に分けて確認する。
この資料の解答・解説を開く
問5 対照群:15%/X処理群:50%/①
| DNA量 | 対照群 | X処理群 |
|---|---|---|
| 1 | 240個 | 120個 |
| 1より大きく2未満 | 100個 | 80個 |
| 2 | 60個 | 200個 |
| 合計 | 400個 | 400個 |
対照群は60÷400×100=15%、X処理群は200÷400×100=50%。①は観察結果をそのまま表している。
②を選べない理由:DNA量が2の区分にはG2期とM期の両方が含まれる。どちらの時期に多く存在するか、この表だけでは分からない。また、一時点の割合だけでM期の所要時間を直接測ったことにはならない。
③:周期の長さは測定していない。④:「停止した」とは判断できず、DNA量が1や中間の細胞もある。高い割合を見て、すべての細胞が同じ状態だと解釈することはできない。
問6 ②
理由の例:確かめたいのはM期の「時間」なので、M期の開始から分裂完了までを直接測る。対照群とX処理群の複数の細胞を同じ基準で測定し、細胞ごとのばらつきも踏まえて比較する。
①は細胞の大きさを測っており、M期の時間は分からない。③はG2期とM期を区別できず、M期の時間を直接測っていない。④は両群で測る量が異なり、M期の時間を比較できない。
誤答の原因と確認事項
| つまずき | もう一度確認すること |
|---|---|
| 知識:時期が混ざった | Sで合成、Mで分配。間期はG1・S・G2。 |
| 式:分母が違った | 周期全体に対応する細胞数を選ぶ。 |
| 判断:言いすぎた | 観察した事実と、原因の推測を分ける。 |
内容確認:文部科学省「令和6年度第2回高等学校卒業程度認定試験・生物基礎」第2問。細胞数の割合と時間の割合を対応させる仮定を確認した。本教材の問題・数値・図は独自制作で、同試験や共通テストの過去問ではない。復習:みんなの高校生物Plus「細胞周期とは?DNA量の変化をグラフで理解」。出題範囲全体の教材ではなく、細胞周期の知識・計算・資料読解を扱う単元別教材である。
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